魔女
彼女は魔女という言葉を使っても差し支えないぐらいの魅力を持っている。
最初に彼女の魅力を感じたのは初対面の面接の時。その後の研修を経て彼女には近づかないようにした。
再び彼女が気になりだしたのは、彼女が作成した商品案内の小さなPOPだ。
彼女の作り出すPOPは商品特性をよく表していて、それでいて老若男女誰に対しても嫌みがなく好かれるものだった。そこで彼女に対して自分がいつも作成しているメニュー表を今後一緒に作ってほしいと頼んだ。それと同時に彼女は単なるパートに来ている主婦であり、いつ辞めてもおかしくないので、その彼女の類まれなるPOPを作るノウハウを伝授してもらおうと思ったのだ。
「星野さんのつくるPOPはすばらしいねえ。店長も褒めていたよ。これなんてどうしてこういう発想になるの?」
「えっ、だってここにこの字を入れると物凄く親しみ湧くでしょう?あとこの商品にはこの字体が映えるんですよ。」
丁寧にかつ、わかりやすく屈託のない笑顔で教えてくれた。
これだけ、美しくもあり才能もあり誰にでも明るく接することができる彼女はどんな人物なんだろう。
彼女の採用時の面接書類と履歴書を見てみると、彼女は週2日以外に3日間デザイン事務所に勤めていてしかも、そのデザイン事務所が主催するデザイン学校でデザインを教えているのである。さらに彼女の旦那は、この地方では知らぬものがいない地元有力企業の部長をしているのである。講師を務めることができるぐらいのデザイナーであり、部長婦人でもある彼女がお金にも仕事にも困ることはない。
では、うちのお店でパート?そこもまた、彼女にミステリアスな部分である。
まさか自分に出会うため(笑)そう考えながらも、彼女とショートメールで色々POPや、メニュー表の打ち合わせを始めるようになった。
しかし、それでは色々不便に思ったのだろうか、彼女の方から
「社長、LINEにしませんか、ショートメールだと色々制限があって、嫌ですか?」
「いや、いいんだけど、LINEやってないし、でも直ぐに始めるよ」
気になる女性からのLINEのお誘い。やらないわけがない。速攻でLINEをダウンロードして始めたのは言うまでもない。
そうそれが、2年前に始まった彼女とのLINEだった。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。