secondlaman(片思い)のブログ

極々平凡なオヤジの不倫に到達できない片思いブログをどうぞ読んでいってください。強烈なセカンドラマン生活を突っ込みどころ満載でお送りします。

サンプル

当店の秋の新作お土産スイーツが出来上がった。今回はパテシエだけでなく、パッケージデザインを手がけた星野マスミにも意見を聞きながら作った全社一丸のプロジェクトだ。


そしてそのサンプルパッケージが出来上がったのでその中に私自らが作ったスイーツを入れて彼女にプレゼントしたのだ。


彼女は物凄く喜んだ。

「これは、凄く可愛い。さすが自分が作っただけはある」


最高の笑顔で少し斜め下から覗き込んで自信満々で言い放った。その時の彼女のかわいさは活字では表現できないくらいだった。


そして彼女はこう言った。

「これって私だけ?大事に取っておこう」

この発言を聞いてうれしかった。この些細なプレゼントを喜んでくれている。


そして他にも店長分も作成したけどとりあえず渡すのはやめてしまっておこうと思った。これは彼女だけのスペシャルプレゼントとすれば上手く行きそうな気がしたからだった。

変化


星野マスミは当社で仕事を始めてから、ずっとショートボム風の髪型だった。しかし息子さんの受験を機に髪の毛を伸ばし始めたのだ。それが堪らなく似合っており、そして髪の毛を後ろで縛った姿に自分は思わずテレを隠しながらも言ってしまった。


「かわいい。凄く似合っているよ。このまま伸ばして欲しいなあ」

ちょっと間違えればセクハラと取られてもおかしくない発言だった。

しかし彼女は

「凄くうれしい。社長だけだよ。私の髪型を気にしてくれるの」

「旦那様とか何にも言ってくれないの?」

「旦那はもういいよ」

上機嫌で、職場に戻って行った。


そして、その頃、彼女にはもう一つ別の話題が立っていた。彼女は男女を問わず、知り合いが限りなく多い。デザイン学校の生徒たちであり、二人の子供の学校関係者であり、部活父兄、それ以外にも地元の友人、そして趣味のマラソン仲間やスカッシュ仲間である。


そしてその友人知人がよく当店を訪れていた。そのたび友人に髪型のことを褒められていた。そしてもう一つの話題というのが男女混合スカッシュを辞めてしまうということだった。もともとチームに所属していて当然男女がいなければ成り立たないものだが、女性の参加者が少なく、彼女が辞めてしまうのはチームとして困ってしまうと彼女は自分に説明してくれた。


自分は彼女が辞めてしまう理由がイマイチ理解できなかった。なにせ15年近くそのサークルでやっているのにいきなり大した理由でなく辞めてしまうからだ。


そんな時、彼女は急に髪の毛をバッサリ切ってきて、元の髪型に戻したのだ。

自分はどちらの髪型も彼女に似合っていて好きだったのですが、特にその髪の毛を切ってしまったことがショックだった。あれほど、褒めたのになあ。


そこで彼女に聞いてみた。

「どうして髪型かえてしまったの?」

彼女は屈託のない笑顔で答えた。

「周りの友達がね。前の髪型がいいって言うから。それにスカッシュやるとやっぱり邪魔なんだよね。どうしてもね」


あれー辞めるんじゃなかったの?自分はその二つの変化を自分的にはポジティブにとらえることができなかった。なぜなら、もしかしたらそこに旦那様以外の別の男?が見えてきたからだった。




マスミとミチル

星野マスミが、当店でPOP担当兼フロアー担当で働きだして一年が経とうとしていた。そんな時、フロアーで働きたいというミチルを紹介された。ミチルは星野マスミの大人になってから知り合った自分の分身だそうだ。


年齢が一緒

旦那さんの年齢も一緒

二人の子供の年齢も一緒

上の子が進学した高校も一緒

血液型もB型で一緒

結婚する前の苗字も一緒

ランニングも毎日一緒にしているそうだ。


だから優しく教えてねってマスミに言われたらそれは従うしかなく。これ以上なく丁寧に教えた。


そしてこの時のイメージが良かったのか彼女が後々自分の味方になってくれるのだった。