プロローグ
平成最後の7月、世間がW杯の日本代表に盛り上っているときに自分は、久々に彼女とのLINEが続いていた。彼女と言っても11歳の長女でもなく、同級生の女房でもなく、自分と同じ48歳の既婚女性である。
名前は、星野マスミ。出会いは彼女が5年前に私が経営する喫茶店に
アルバイトの応募に来た。面接の時、彼女は屈託のない素敵な笑顔で言った。
「以前勤めていたイタリアンレストランでは誰よりもトイレ掃除を一生懸命し、綺麗にしていました。それが一番自信があります」
女優と言われるほどの美人ではないが、この田舎ではそこそこ目立つ美貌の彼女がトイレ掃除か得意と言い放ったのだ。なんか、そのギャップに自分は引き込まれそうになった。
当然、この喫茶店のオーナーである自分は採用を即決した。
ただ、この時の自分は浮気とか不倫とか婚外恋愛とかそんなことは考えたこともなく、ただ純粋に彼女を採用したのだ。
いつもは従業員はオーナーである自分が初期トレーニングを実施するのであるが、彼女に関しては野生の勘が働いた。近づいてはいけない。何か得体の知れない魅力を感じたのだ。そして3号店目の出店準備の多忙を理由に、教育係として当時店舗で店長として働いていた女房を指名した。
今となっていれば、この時の勘は当たっていた。星野マスミは自分には憧れの存在になっており、片思いの相手として執着してしまっている。
彼女と出会いの日から、自分の喫茶店5店舗に増え、3児の父になった。
周囲から見れば、人生が順調で仕事も家庭も満足できている状態である。
自分でも間違いなく運もよかったし、女房も含め恵まれていると思う。
ただ、今の幸せを持ってきても、彼女の魅力がそれを上回った。しかも手に入らないという状況なのに…。
そんな情けない男の備忘録としてこのブログを続けていく。
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